4.資料
(1)6月23日、請願書(質問事項)全文
2023年6月1日
内閣総理大臣 岸田文雄 様
国土交通大臣 斎藤鉄夫 様
カジノ問題相談会 担当:山川よしやす
〒536-0008大阪市城東区関目6丁目4番2-103
電話:090-8536-3170
メール: yama09085363170@gmail.com
「大阪・夢洲地区特定複合観光施設区域の整備に関する計画」の「認定」を直ちに取り消すことを求める請願書
【請願趣旨】
2023年4月14日、岸田内閣、斎藤国土交通大臣は、特定複合観光施設区域整備法に基づき「大阪・夢洲地区特定複合観光施設区域の整備に関する計画(以下、「区域整備計画」)」の審査を終え、これを「認定」し、7つの条件を付して公示した。
同時に明らかにされた、「大阪・夢洲地区特定複合観光施設区域整備に関する計画」審査結果報告書(以下、「報告書」)によれば、1000点満点で合格ラインとなる評価点は600点。そして審査結果は657.9点という低水準であり、「要求基準」を満たす「認定」内容も不明という酷い内容である。25の評価項目のうち得点率60%以下は6項目に及び、うち50%台は、「【14】カジノ施設のデザイン 【17】観光への効果 【23】地域との良好な関係構築のための取組」の3項目も存在する。
私たちは、「区域整備計画」この「認定」を認めることは出来ない。
国による「認定」は、4月9日の大阪府知事選挙、大阪市長選で大阪維新の会の吉村氏と横山氏の当選、また大阪府市議会選挙での維新過半数という選挙結果の直後に突如として公表された。認定審査は及第点を超えることを前提に、「評価点」と「課題」を併記して国の責任を回避し、恣意的に「評価項目」の一部を減点した羅列でしかないことが「報告書」から読み取れる。「及第点ありき」の政治的、恣意的判断が働いている代物である。
「認定」するうえで、「審査委員会の意見の反映」「地盤沈下・液状化・土壌汚染」「地域との十分な双方向の対話と良好な関係構築」「依存防止対策」など7つの条件が付され、「報告書」には多くの問題点が記載されている。「高い国際競争力・独自性」は否定され、「地盤沈下」を認識しつつその対策を矮小化し、南海トラフ地震など防災・避難対策の環ともいえる交通利便性さえ現計画の「乏しさ」に解消した。人命を軽んじている。
看過できないのは、経済効果の前提とされる2000万人(開業3年目1987万人)の集客でさえ、「意欲的な数字」とし「根拠が明確でなく」「算出数値の水準について一般的に納得されるには至らない」としていることである。審査委員会は、夢洲カジノ誘致計画の前提となる収益性の根拠に疑義を呈しているのである。さらに地盤沈下が半永久的に進行する埋立地夢洲では、大阪市による液状化対策費約790億円の負担では終わらない。膨れ上がる莫大な公費投入は、大阪市の財政を逼迫し住民生活に大きな影響を及ぼすことになる。
また「地域住民との良好な関係構築に関しては課題が残る」とし、「地域との十分な双方向の対話と良好な関係構築」は、未だ達成されてはいない。
「報告書」は、多くの課題を指摘している。一部を抜粋・簡略化(…の部分)してまとめると、以下の文書となる。
▸来訪者数規模(平均1日約5万人)…適正な供給規模を有しているのか…十分な評価をすることは難しい…根拠の不明瞭さが…見られ、算出数値の水準について…納得…には至らない…来訪者数が推計根拠となっている…実際には下振れする懸念があり…過大推計となるおそれ…が見受けられる。
▸反対する団体等による住民監査請求、民事訴訟、署名活動等が存在…地域住民との良好な関係構築に…課題…理解促進のための…計画が乏しい…地域住民と…双方向の対話の場を設け、懸念の払拭を図る必要がある。
▸土壌対策など課題…工期等の遅れが生じた場合…後発事由で発生の所要費用の分担を含め…大阪府・市と円滑な…合意形成の下、着実な対応を求める。財務状況が悪化…した場合…対処方針が確実に実施され…IRの運営が確保されることについて継続的に確認されることを求める。
上記の内容は、4200億円の収益の前提となる来訪者数には根拠もなく(住民福祉に資する根拠がなければ違法性を阻却する事由を欠く)、地域住民との合意形成の努力もなく、果ては土地対策で過大な費用負担が生じた場合、大阪府市民に負担を求めることを確認せよと述べているのに等しい。
「区域整備計画」は、及第点を出し「認定」できるようなものではない。今回の「認定」には、大阪府市民とIR利用者も含めた人々の命や生活に責任を持つ姿勢など一遍も存在してはいない。大阪府市民の負担の上に、グローバル企業・カジノ事業者・ゼネコンが儲ければよいという無法な思想しか存在していない。
4月14日の「認定」公示後、日弁連会長声明が出された。また報道各社は問題点を大きく報道している(「大阪カジノ認定 万博の理念にもそぐわない」(4月26日読売新聞社説)/「銀行 巨額融資にためらい」(5月2日日経新聞)/夢洲にアスベストが埋まっている可能性(週刊新潮5月4~11日号)/「市民の運動と夢洲の土壌問題」報道(週刊金曜日5月19日号)など)。
特定複合観光施設区域整備法35条には、区域整備計画の認定の取消しが定められている。
第三十五条 国土交通大臣は、次の各号に掲げる場合のいずれかに該当するときは、区域整備計画の認定を取り消すことができる。
一 認定区域整備計画が第九条第十一項各号に掲げる基準に適合しなくなったと認めるとき。
二 公益上必要があるものとして認定都道府県等から区域整備計画の認定の取消しの申請があったとき。
三 認定設置運営事業者等が第三十条第一項又は第二項の規定による処分に違反したとき。
四 認定都道府県等が前条第一項の指示に違反したとき。
以下、請願するとともに質問する。
◆質問事項については、2023年6月16日(金)までに文書回答を求める。
◆そのうえで、6月23日(金)の請願行動の場で意見交換を行うことを求める。
【請願項目】
1.大阪・夢洲地区特定複合観光施設区域の整備に関する計画の「認定」を直ちに取り消すこと。
2.大阪府・市(IR推進局)に対して、「認定」における7つの条件の速やかな実施を指導すること。
3.実施協定の締結における国土交通大臣の認可をしないこと。カジノ営業の免許を付与しないこと。
【質問項目】
国土交通省観光庁の「特定複合観光施設区域の整備に関する計画の認定について(公示)」(観参第66号 令和5年4月14日)における「大阪・夢洲地区特定複合観光施設区域の整備に関する計画」の認定、公示にあたり付された「条件(7項目)」、及び特定複合観光施設区域整備計画審査委員会(以下、「審査委員会」)が2023年4月11日付で提出した「大阪・夢洲地区特定観光施設区域整備に関する計画」審査結果報告書(以下、「報告書」)」について、以下質問する。
1.別紙に記載された7項目の条件について
特定複合観光施設区域整備法第九条(区域整備計画の認定)第13項には「国土交通大臣は、特定複合観光施設区域の適正な整備を確保するため必要があると認めるときは、第十一項の認定に条件を付し、及びこれを変更することができる」と定められている。
今回の認定は7つの条件が付された。すなわち現在の「区域整備計画」は「適正な整備を確保するための必要がある」と認め、条件が満たされぬままでは認定されないと解される。7項目の条件は、「区域整備計画」の認定において必要条件とされるか否か。見解を求める。
2.「条件(7項目)」の1、7について
項目1では、「審査委員会の意見が適切に反映されたものとなるよう今後の詳細設計・建設において十分留意すること」としている。また項目7では、「認定審査における特定複合観光施設区域整備計画審査委員会の意見を十分に踏まえ、必要な充実を図りつつ区域整備計画の着実な実施及び適時必要な見直しを行うこと」としている。
(1)国土交通大臣は、審査委員会の意見が反映されるよう改善した新たな「区域整備計画」の「詳細設計・建設」の提出、「必要な見直し」を求めているのか。提出を求めている場合、期限をどう定めているのか。
(2)また「適切に反映された」ものであるか否かの審査は、いつ、誰によって行われるのか。
3.「条件(7項目)」の2について
国土交通大臣は「効果の推計」に関して「推計に用いる各種データ等の精緻化に取り組む」ことを求めている。
(1)「推計に用いる各種データ等の精緻化に取り組む」との指摘は、認定された「区域整備計画」の推計の根拠となるデータが粗笨であったことを認めるものと解する。見解を求める。
(2)「効果の推計」にある「効果」とは、「審査委員会」による「報告書」にある「経済的社会的効果(17.観光への効果/18.地域経済への効果/19.2030年の政府の観光戦略の目標達成への貢献)」という理解でよいか。
(3)「審査委員会」による「報告書」には、以下、記載されている(一部略・抜粋)。
▸「17.観光への効果(「報告書」p.17~18)」
① 計画上の事業・営業戦略に関する記述ではオールインワンMICEというこれまでにない手法・商品力であることを強調している点との関係では、この推計手法(大阪内の既存実績値に依拠)は、強調されている当該営業戦略とは親和性はあまり感じられない。
② 需要サイドの分析の観点では、…(略)…広く市場動向の分析や他の近隣類似施設の存在を十分意識した需要競合の整理、日本・世界規模で見た場合に大阪が有する相対的な競争力の織り込みについてはほとんど分析が見られず、推計値の妥当性に関し十分な評価を行う材料に欠ける面がある。
③数字としては、合計531件のMICE開催が見込まれる計画は、我が国のMICEに対する貢献が見込まれるものと評価できる。ただし、大阪IRにおける国際会議の開催件数(開業3年目:約29件)については、パシフィコ横浜といった同種大規模施設との比較では必ずしも多くはなく、件数増加に向け努力することが求められる。
④推計実施以降、新型コロナウイルス感染症に伴う社会状況の変化、夜の外出など生活スタイルの変化、MICEをめぐる情勢の変化…(略)…や、他都市での意欲的な国際MICE都市構想(例:東京)の動きが見られるため、今後、これらの環境・情勢の変化や国内・大阪内の他の有力な類似施設との競合、オールインワンMICEにふさわしい新たな取り込み需要といった要素も取り込んだ手法での推計値の精緻化を求める。
⑤来訪者数の推計では…(略)…細部の設定数値の中には公証力ある根拠提示に欠けるものも見られる。例えば、カジノ来訪者数の推計の前提となる「性向」の設定値の妥当性については、その根拠が明確でなく、十分な評価は困難である。他の来訪者部分の予測の計算過程についても、同様の細部設定や根拠の不明瞭さが一部見られ、算出数値の水準について一般的に納得されるには至らないものもある。
⑥来訪者数値自体は、開業3年目に約1,987万人が見込まれている。…(略)…前述した細部の不明瞭さに関連し、推計値は、証左等の裏打ち以上に意欲的な数字となっている面が見受けられる。今後は、前述した観点を踏まえた手法での推計値の精緻化とともに、この推計値が実現されるよう、高い目標に取り組む意識で大阪IRの魅力の増進に最大限取組が続けられることが求められる。国内来訪者の割合が多くなっていることを踏まえ、特に外国人来訪客の増加に向けたプロモーションと集客が重要である。
▸「18.地域経済への効果(「報告書」p.18~19)」
① 建設段階においては、建設関連投資約7,871億円をはじめ、IR開業までの初期投資額はシンガポールIRを超える約1兆800億円となっており、自ずとその投資規模の大きさから、経済波及効果約1兆5,800億円、雇用創出効果約11.6万人と地域経済への効果が相応は見込まれる計画である点が評価できる。
② IR区域内の旅行消費額は6,600億円と見込まれており、シンガポールIRと比較しても大きな数値となっているが、評価基準17で前述の意欲的な来訪者数が推計根拠となっているため、実際には下振れする懸念があり、特に訪日外国人の来訪者数と旅行消費額の見込みが達成されるよう予測の深化と実際の取組を行うことが重要である。
③ 推計方法に関しては、…(略)…MICEに係る直接効果の算定における使用単価の点など、一部には過大推計となるおそれのある粗さが見受けられる。また、今後は、大阪・関西のみならず、全国的な視点を含めたIR設置・運営による地域経済への効果のさらなる分析・推計が重要である。
④地域経済への波及効果を発現・増進させる取組として、大阪IRが導入する会員ポイントプログラムを活用した来訪者の地域への送客や周遊促進、地元企業との持続的な調達取引、質の高い雇用機会の提供と人材基盤強化といった取組の検討が見受けられる。なお、これらの施策による具体的な効果は量的に見積もられていない。
▸「19.2030年の政府の観光戦略の目標達成への貢献(「報告書」p.19~20)
①訪日外国人旅行者数の推計方法については、…(略)…細部の数値設定や根拠の不明瞭さが一部に見られる。特に、大阪IRがなくても大阪圏へ来訪したと想定される人数を除いた純増分については…(略)…その推計方法については、例えば公的に又は一般的に供用されているデータに基づくような客観性ある根拠はあまり示されておらず十分な評価はできない。
②その上で、数字としては、大阪IRへ来訪する訪日外国人旅行者数は、約597万人(開業2年目)、そのうち純増分は約250万人と試算されており、目標達成への一定の貢献は見込まれる計画であると考えられる。
④当該旅行消費額の推計方法に関しては、あくまでこれまでの観光統計上の消費単価等を基本とした推計となっており、現段階で得られる情報の範囲で推計している方法には一定の理解を示せるが、IRの来訪者の様々な属性(国籍、所得層など)に鑑みると、開業に向けては単に観光統計に基づく推計ではないことが望まれる。今回の推計では娯楽費部分の消費額の計上についてどの程度十分に盛り込まれているか不明瞭であり、その適切な深掘りや消費行動に伴う決済情報の活用、アンケートによる訪問場所の把握等により、来訪者のプロファイルをよく踏まえた、より実際の消費動向の把握となるように努め、政府目標への貢献を一層正しく検証できる推計となるよう、IRであることが反映された特有の推計による精緻化を進めることが必要と考えられる。
⑥2030年の政府の観光戦略の目標達成に貢献するためには、2030年までのIR開業が求められるところ、大阪IRの開業時期「2029年秋~冬頃」については、工程が最も早く進捗した場合の想定とされており、工事環境等によっては、開業時期が1~3年程度後ろ倒しになる可能性が記述されていることは、留意しておくべき点である。
(4)上記、「区域整備計画」認定の根拠となった「審査委員会」の「報告書」における「経済的社会的効果」の項目では、夢洲IR・カジノ事業計画の根幹をなす事業収入、年間売り上げ5,200億円(うちカジノ収入4,200億円)の根拠となる来訪者数の推計根拠が明確でなく、「実際には下振れする懸念」があるとまで述べている。
需要サイドの分析でも、「推計値の妥当性に関し十分な評価を行う材料に欠ける」とし、さらに来訪者数の推計では、「細部の設定数値の中には公証力ある根拠提示に欠けるものも見られる」「カジノ来訪者数の推計の前提となる「性向」の設定値の妥当性については、その根拠が明確でなく、十分な評価は困難」「他の来訪者部分の予測の計算過程についても…(略)…算出数値の水準について一般的に納得されるには至らない」としている。
科学的な利益推計の根拠が明らかでない「区域整備計画」のまま、実施協定の締結・認可、カジノ免許の付与を行うことは出来ない。見解を求める。
4.「条件(7項目)」の3について
「特定の国籍等客層に偏ることなく、幅広い来訪者が訪れるような集客の実現に取り組むこと」とあるが、現在の計画では毎年欠くことなく「年間2千万人の来訪者(USJは1450万人)」があり、「5200億の年間収入(内カジノ収入4200億円・利用客の70%は日本在住者を対象)」を維持し続けることが前提とされている。
この数字は年間約1,400万人(1日約3万8千人)の日本在住者が継続して来場する試算となる。
(1)日本の総人口1億2447人の1割以上が来場することなどありえないと考える。また現在の国内来場者に依存する計画で、年間4,200億円のカジノ収入売り上げは可能と考えているか。見解を求める。
(2)単独で世界最大のカジノといわれるシンガポールのマリーナベイ・サンズでも、IR施設を含め年間来訪者数は4500万人、売り上げは3000億円である。夢洲カジノ計画では、この1/2に満たない来場者数で1.7倍もの売り上げを想定しているが、その根拠は示されていない。根拠の説明を求める。
(3)海外からの来場者は現在600万人が見込まれている。「審査委員会」は「報告書」でこの割合を増やすよう求めている。しかし訪日外国人旅行者数は、コロナ禍以前で最も多かった2019年で3188万人であった。この数字で試算しても、訪日外国人旅行客の5人に1人以上が大阪夢洲IR・カジノを訪れることになる。その根拠はない。「報告書」では「外国人来訪客の増加に向けたプロモーションと集客」を求めているが実現可能性をどう考えるか。見解を求める。
5.「条件(7項目)」の4について
「地盤沈下については、継続的に沈下量計測などのモニタリングを実施するとともに、想定以上の沈下が進行した場合などの対応について十分検討しておくこと。液状化対策については、今後の対策工法等の詳細及び対策範囲の確定に当たって不十分なものとならないよう検討すること。土壌汚染については、仮に今後新たな事象が判明した場合に備えて対応策を幅広に検討しておくこと」としている。
また「審査委員会」による「報告書」には、以下、記載されている(一部略・抜粋)。
▸「19.防災・減災対策、コロナ等の感染症対策」(「報告書」p.22~23)
(1)防災・減殺対策
① 夢洲は、主に洪積層における長期的な地盤沈下が見込まれる土地である…(略)…その措置時期の検討結果によっては、建設/改修コスト(時期により負担者も異なり得る)や工期等への影響が懸念される。
② 想定される最大津波・高潮では、臨港緑地への浸水が想定される…(略)…将来の地盤沈下量を見込んだ場合でもIR区域は十分な高さを有することが一応検証されているが、前提となる、主に洪積層の地盤沈下量予測に関しては、沈下の実測データ等が限られる中で、沈下量予測の閾値に余裕があるかは不明瞭で、厚みに欠ける予測でもあるとの意見もあったことから、今後、開業以前・以降ともに、これまで以上の沈下量の計測などのモニタリングに努め、想定を超える沈下など、「想定外」の事態が起きた場合への対応もリスク管理意識をもって十分検討しておくことを求める。この点は、地盤沈下自体への対策姿勢としても同様であり、こういった「想定外」を始めとした幅広なリスク管理意識の高さが見受けられたかについては高評価はし難い。
③ 巨大地震時には局所的であれ液状化の発生が確実視され、…(略)…具体的な工法やその実施範囲の詳細は未確定であり、前記の対策範囲の外となった場所(広場・駐車場等)で、局所的に液状化・噴砂が発生した場合、速やかな復旧方策を検討しておくとされているものの、噴砂によっては部分閉鎖という影響が生じることも懸念され、そのような事態発生が最大限回避されるよう、今後の工法の具体化、対策範囲の確定に当たっては不十分なものとならないよう熟考を求める。
④ 災害発生時の対応に関し、…(略)…引き続き、関係者間において、各事象に応じた役割・リスク分担等を十分具体化させていくことが必要である。
⑤ 災害発生時の避難について、…(略)…備蓄の確保期間が十分かについては検討の余地がある。夢洲外へ避難が必要となる場合のルート(夢舞大橋・夢咲トンネル)は耐震対策がとられるものの、災害発生時にどちらも使用できなくなる想定がなされておらず、今後、想定外の事象が起きた場合の対応について幅広で厚みのある検討を求める。
⑥ 年間約2000万人(約5万人/日)が訪れる施設であることを踏まえ、IR施設内での医療体制の確保、救急搬送を含めた周辺医療機関との連携、その両者の分担の線引きなど、来訪者規模を踏まえた相応規模の具体的な検討が求められる。
(2)サイバーセキュリティ・テロ・保険・感染症対策その他の健康・衛生の確保のための取組
④土壌汚染について、…(略)…大阪市により、土壌汚染対策法に基づき試料採取等を省略する等によりIR区域を含めた夢洲地区の汚染状態の判定がなされているところ、今後、調査等により仮に新たな事象が判明した場合は関係法令にのっとり適切かつ迅速に対処されるようあらかじめ対応策を幅広に検討しておくことを強く求める。
▸「15.交通利便性」(「報告書」p.16)
①夢洲への主要アクセス道路も1本(2方向)のみである。…(略)…これら新駅等の整備後も、IR所在地への交通手段ごとのアクセスルートは、リダンダンシー(多重性)に乏しい面がある。
▸「20.IR事業者等の事業遂行能力」(「報告書」p.20)
③特に準備段階においては、大阪府・市がIR整備の工程上重要な役割を担うが、大阪市が進める土壌対策など課題が顕在化している現在の状況に鑑みれば、工期等の遅れが生じた場合の対応など、大阪府・市との連携に関しては、後発事由で発生の所要費用の分担を含め、IR事業者として構成員間及び大阪府・市と円滑な意思疎通・合意形成の下、着実な対応を求める。
(1)「報告書」では、夢洲が「洪積層における長期的な地盤沈下が見込まれる土地である」ことを認めている。その上で今後の地盤沈下予測について、「沈下の実測データ等が限られる中で、沈下量予測の閾値に余裕があるかは不明瞭で、厚みに欠ける予測でもある」との意見を採用し、「想定外」の事態が起きた場合への対応の十分な検討を求め、「リスク管理意識の高さ」について「高評価はし難い」とした。さらに「具体的な工法やその実施範囲の詳細は未確定」としている。
①これはIRの認定に関する「要求基準」の適合かつ、実現可能性の根拠に関わる内容である。見解を求める。
②「具体的な工法やその実施範囲の詳細は未確定」としつつ、「区域整備計画」を認定した根拠は何か。2019年に行なわれた大阪市によるボーリング調査結果によれば、重量構造物の建築のためには支持基盤である洪積層(第2天満層/砂礫層)まで約80メートルの支持杭を打設する必要が認められる。しかし現在の地盤改良は、地表から6メートルまでの覆土による汚染度対策と、その下約20~30メートルの埋立層(浚渫土砂・建設残土)の液状化対策に限られている。地下80メートルの埋立地という特殊性を持った施工事例は存在するのか。軟弱地盤工法さえ決まらぬまま、認定を行うことは誤りである。見解を求める。
(2)夢洲では、PCBやダイオキシンなど土壌汚染が確認され、さらに液状化などの問題が存在する。大阪市は土壌対策費として788億円もの公費投入を決めたが、地盤沈下対策は含まれていない。大阪市は、「通常の想定を著しく上回る大規模な地盤沈下や陥没が生じた場合を除いて、大阪市が費用負担を行わない」としているが、「報告書」に記載されているように地盤沈下対策には、「想定外」の事態が予見される。「報告書」は、「工期等の遅れが生じた場合の対応」など、「後発事由で発生の所要費用の分担」について問題視している。工法が決まっていないまま工期ありきの突貫工事を進めることは、大阪府市に莫大な財政負担を強いることにつながり、果ては安定したIR・カジノ事業の展開を不可能とする。見解を求める。
(3)夢洲への主要アクセス道路について、「多重性に乏しい」としている。南海トラフ大地震の可能性が指摘されているが、仮に1日5万人の来場者を想定した場合、避難は十分であると考えるか。また軟弱地盤の上に設置された道路、鉄道、橋梁、トンネルの安全性と輸送能力は必要かつ十分な条件を満たしていると考えるか。見解を求める。
6.「条件(7項目)」の5について
「地域との十分な双方向の対話の場を設け、地域との良好な関係構築に継続的に努めること」としている。
また「審査委員会」による「報告書」には、以下、記載されている(一部略・抜粋)。
▸「23.地域との良好な関係」(「報告書」p.24)
②大阪IRに反対する団体等による住民監査請求、民事訴訟、署名活動等が存在している状況であり、地域住民との良好な関係構築に関しては課題が残る。大阪府・市による地域住民への対面での説明の場を設けるといった能動的な理解促進のための取組の計画が乏しいように見受けられる。地域住民との間において、十分な地域との双方向の対話の場を設け、懸念の払拭を図る必要がある。
③地域における幅広い関係者の理解と協力を得ることが、IR事業を長期的かつ安定的に継続していくために不可欠であることも踏まえれば、一方向の情報発信にとどまらず、IR事業に否定的な人々も含む地域住民との間において、十分な地域との双方向の対話の場を設け、懸念の払拭を図る取組を求める。
(1)IR整備法は、「区域整備計画案」を策定するうえで「住民の意見を反映させるために必要な措置を採る」と規定し、説明会や公聴会などの実施を義務づけ、審査においても「地域における十分な合意形成」を評価基準の一つとしている。しかし大阪府、大阪市はこれを怠った。11回を予定した説明会はコロナ感染症拡大を理由に7回で打ち切られた。予定されていた説明会会場の最大収容数は、大阪府民のわずか0.0125%。府民が求めたインターネット配信による視聴も拒絶された。また公聴会では約9割を超える公述人が多角的な視点から夢洲へのカジノ誘致に反対との公述を行ったが、すべて「区域整備計画案」には反映されなかった。
2022年2月、大阪市会において議員による「住民投票」が提案されたが、委員会付託もされず十分な審議がなされないまま本会議で否決された。そして同年、大阪府で45年の時を経てカジノの是非を問う住民投票条例制定直接請求署名運動が取り組まれ、法定数を大きく上回る210,134筆の署名が集められた。しかし大阪府議会はわずか半日の審議でこれを否決した。大阪府市は、主権者である大阪府市民への説明責任を尽くさず、「手続きは踏んだ」と住民意見を封殺した。IR整備法の精神を踏みにじる瑕疵である。見解を求める。
(2)「条件5」や「報告書」にある「双方向の対話の場」を大阪府民は求めている。国土交通大臣として、再度、住民による合意形成を促進するため、「双方向の対話の場」を持つことを条件とした認定を告示した職責を果たし、大阪府に指導することを求める。見解を求める。
7.「条件(7項目)」の6について
(1)ギャンブル依存症について、「依存防止対策を始めとして実効性を持って取り組むこと。また、ギャンブル等依存が疑われる者の割合の調査を行い、その結果を踏まえ実効性のある依存防止対策を定期的に検証し、大阪府・大阪市及び設置運営事業者が連携・協力して必要な措置を適切に講ずること」とある。また「報告書」でも「25.依存症対策等(p.25~26)」として多くの課題が指摘されている。
(2)しかし大阪市会の参考人質疑で、IR事業者であるMGMリゾーツのエドワード氏は「ギャンブル依存症を抱えているかも知れない約2%に実際に問題が起きないようにサポートする」と答弁した。カジノ来場者の約2%が依存症になることを想定しても、その数は20万人を超えると想定される。大阪府では「ギャンブル等依存症対策基本条例」が制定されたが、最大の依存症対策はカジノ誘致を撤回することである。見解を求める。
8.「報告書」の「国際競争力の高い魅力ある滞在型観光の実現」
「報告書」について、以下報告されている(一部略・抜粋)。
▸「1.コンセプト」(「報告書」p.7~8)
国際競争力上相応しい日本の魅力や大阪の魅力が発現されているとの受け止めは難しく、既に海外のIRでも水辺感を特長とした競争力の高いIRが複数存在することを踏まえると、差別化の点で十分に「高い国際競争力・独自性を有する」として評価できるとまでは言えない。
▸「4.ユニバーサルデザイン等」(「報告書」p.7~8)
夢洲の長期的な地盤沈下に起因して地盤と建物の間に沈下差が生じることが確実視されるところ、…(略)…更なる内容の充実が必要と見受けられる。
この「報告書」から、夢洲IR・カジノは、「要求基準」の要件を満たさず、国際競争力の高い魅力あるIRとは言えないと考える。見解を求める。
9.夢洲IR・カジノ用地賃貸契約問題について
(1)現在、夢洲IR・カジノ建設予定地の評価額が問題となっている。大阪市大阪港湾局が不動産鑑定業者4社に建設予定地の評価を求めたところ、3社が1㎡あたり12万円で一致。IR辞儀容者への賃料評価額は、同じ3社が1㎡あたり月額428円で一致した。「奇跡一致」とまで言われ、談合疑惑が持ち上がっている。さらにこの評価額は、近隣の埋立地に比して異様に低く抑えられ、大阪市が「IR事業を考慮外」とするよう鑑定業者に指示していたことも判明している。
不当に安く評価した額をもとに用地賃貸契約をIR事業者と契約することになれば、大阪市は大きな損失を被ることになる。この賃料は物価スライドのみの固定。賃料は、正当に評価された場合と比べると1年で15億円、35年間で500億円超の値引きになるとの試算もある。現在、夢洲市有地をIR事業者に賃貸することを違法として賃貸契約締結の差し止めを求める裁判が続けられている。
(2)「区域整備計画」の審査、認定の過程で、用地の評価額についての談合疑惑について審議されたか。審議された場合、どのような内容であったか。審議内容を明らかにしていただくことを求める。
(3)IR・カジノ用地賃貸契約が差し止められた場合、認定の取り消しは行なわれるか。見解を求める。
以上、質問する。
(2)6月23日、院内集会 基調報告
2023年6月23日(金)
国に夢洲カジノ計画の「認定」の取り消しを求め、大阪府市に「実施協定」を結ばせない運動へ
山川よしやす
1.4月14日、岸田政権は夢洲カジノ「区域整備計画」の「認定」(※①)。
4月14日、岸田政権は大阪夢洲カジノの「区域整備計画」の審査を終え、「認定」した。
審査結果は、「大阪・夢洲地区特定複合観光施設区域整備に関する計画」審査結果報告書を読むと、1000点満点で合格ライン600点。結果は657.9点という低水準であり、「要求基準」を満たす認定内容も不明という酷い内容である。25の評価項目のうち得点率60%以下は6項目、うち50%台が3項目も存在する(【14】カジノ施設のデザイン 【17】観光への効果 【23】地域との良好な関係構築のための取組)。
また「地盤沈下」や「地域との良好な関係構築」などの7つの条件(※②)が付された。
※①「認定」
特定複合観光施設区域整備法(平成30年法律第80号)第9条第11項及び第13項の規定に基づき、令和5年4月
14日付け観参第66号で「大阪・夢洲地区特定複合観光施設区域の整備に関する計画」を認定し、別紙に掲げる条件を付したため、同条第14項の規定に基づき、公示します。
※②7つの条件
1.カジノ施設やIR全体の建築物のデザインについて、認定審査における特定複合観光施設区域整備計画審査委員会の意見が適切に反映されたものとなるよう今後の詳細設計・建設において十分留意すること。
2.特定複合観光施設区域の整備による効果の推計に関して、推計に用いる各種データ等の精緻化に取り組むとともに、その推計値の実現に向けた取組を着実に実施すること。また、国内来訪者が多数訪れる計画であることを踏まえ、特に外国人来訪客の増加に向けたプロモーションと集客の実施に取り組むこと。
3.特定複合観光施設として長期的に安定した運営を確保するため、カジノ事業の収益を十分に非カジノ事業へ投資すること。また、特定の国籍等客層に偏ることなく、幅広い来訪者が訪れるような集客の実現に取り組むこと。
4.特定複合観光施設区域における地盤沈下については、継続的に沈下量計測などのモニタリングを実施するとともに、想定以上の沈下が進行した場合などの対応について十分検討しておくこと。液状化対策については、今後の対策工法等の詳細及び対策範囲の確定に当たって不十分なものとならないよう検討すること。土壌汚染については、仮に今後新たな事象が判明した場合に備えて対応策を幅広に検討しておくこと。
5.地域との十分な双方向の対話の場を設け、地域との良好な関係構築に継続的に努めること。
6.十分な依存防止対策のための措置を規定する特定複合観光施設区域整備法(平成30年法律第80号)の制度趣旨を踏まえ、日本人の依存防止対策を始めとして実効性を持って取り組むこと。また、ギャンブル等依存が疑われる者の割合の調査を行い、その結果を踏まえ実効性のある依存防止対策を定期的に検証し、大阪府・大阪市及び設置運営事業者が連携・協力して必要な措置を適切に講ずること。
7.前各項に掲げるもののほか、魅力増進施設を始めとする各施設のコンテンツ等について日本らしさを求める意見など、認定審査における特定複合観光施設区域整備計画審査委員会の意見を十分に踏まえ、必要な充実を図りつつ区域整備計画の着実な実施及び適時必要な見直しを行うこと。
2.経過と今後のプロセス
3.政治的判断で出された国の「認定」
(1)政治的な意図のもとでの「認定」
4月9日の大阪府知事選挙、大阪市長選で大阪維新の会の吉村氏と横山氏の当選、また大阪府市議会選挙での維新過半数という選挙結果を見たうえで、突如として夢洲カジノ「区域整備計画」の「認定」が公表された。
この審査は、及第点を超えることを前提に「評価点」と「課題」を併記して責任を回避し、恣意的に「評価項目」の一部を減点した羅列でしかない。「及第点ありき」の政治的、恣意的判断が働いている代物である。
(2)「地盤沈下」「住民合意」問題も解決せぬまま
「認定」するうえで「地盤沈下」や「地域との良好な関係構築」など7つの条件が付され、「報告書」には多くの問題点が記載されている。
「高い国際競争力・独自性」は否定され、「地盤沈下」も認識しつつその対策を矮小化し、現計画における交通利便性についても「乏しい」としつつ、別の視点でからの防災・避難対策としては強く言及もしていない。
市による液状化対策費約790億円の負担では終わらない。
経済効果の前提とされる2000万人(開業3年目1987万人)の集客でさえ、「意欲的な数字」とし「根拠が明確でなく」「算出数値の水準について一般的に納得されるには至らない」としている。
また「地域住民との良好な関係構築に関しては課題が残る」と報告されている。
指摘すべき点が多くみられる報告書である。及第点を出せるようなものではない。
今回の「認定」には、大阪府民とIR利用者も含めた人々の命や生活に責任を持つ姿勢など一遍も存在してはいない。府市民の負担の上に、グローバル企業・カジノ事業者・ゼネコンが設ければよいという無法な思想しか存在していない。
【「報告書」一部抜粋・略】
▸来訪者数規模(平均1日約5万人)…適正な供給規模を有しているのか…十分な評価をすることは難しい…根拠の不明瞭さが…見られ、算出数値の水準について…納得…には至らない…来訪者数が推計根拠となっている…実際には下振れする懸念があり…過大推計となるおそれ…が見受けられる。
▸反対する団体等による住民監査請求、民事訴訟、署名活動等が存在…地域住民との良好な関係構築に…課題…理解促進のための…計画が乏しい…地域住民と…双方向の対話の場を設け、懸念の払拭を図る必要がある。
▸土壌対策など課題…工期等の遅れが生じた場合…後発事由で発生の所要費用の分担を含め…大阪府・市と円滑な…合意形成の下、着実な対応を求める。財務状況が悪化…した場合…対処方針が確実に実施され…IRの運営が確保されることについて継続的に確認されることを求める。
4.闘いは新たな局面に入った
(1)関西万博の開催費用増大の他、「基本協定」「基本合意書」の内容が明らかになる。また工事の進捗と共に矛盾は噴出し、大きな問題となる。
「大阪カジノ認定 万博の理念にもそぐわない」(4月26日読売新聞社説)/「銀行 巨額融資にためらい」(5月2日日経新聞)/夢洲にアスベストが埋まっている可能性(週刊新潮5月4~11日号)/市民の運動と夢洲の土壌問題報道(週刊金曜日 5月19日号)
(2)大阪府・市と大阪IR株式会社との間で交わされる「実施協定締結・認可」や「立地協定」「定期借地権協定」についての大阪府市への追及、さらにカジノ免許申請と国によるカジノ免許付与の過程で国会で論点とする追及などを進めることができる。
(3)横山市長は、記者会見で報告書が指摘する課題(7つの条件など)について、「取り組んでいく」と表明している。実行させる中で、夢洲カジノ反対世論をさらに大きく作り、計画を撤回させていくことは可能だ。
政府・国交省・カジノ管理委員会への要請行動や院内集会、大阪府市への申し入れや府市議会議員と連携した請願運動、国と大阪府市に対する署名運動、「夢洲IR差し止め訴訟」「カジノ用地契約差し止め訴訟」との連帯運動、学習会、暴露ビラの配布、SNS発信などあらゆる運動を展開し、大阪府民に真実を伝え大きな世論形成を図る住民運動を再構築していこう。
◆6月24日(土)『夢洲カジノを止める会全体会議』に参加し、運動方針を決めよう
14:00~16:30 PLP会館大会議室(204人) 大阪府大阪市北区天神橋3丁目9−27
<第1部>「全体会議」会則、新役員、運動方針など提案・討議
<第2部>「学習会&運動方針討議」
▸「夢洲IR・カジノの問題点(仮題)」(チューター検討中)
▸6月23日、国交省請願・議員要請行動報告 運動方針の討議 ※終了後にデモ、又は街頭行動を検討中
◆カジノに反対する大阪連絡会提起の署名運動(2種類、国と府市)に取り組もう
全体目標40万筆(7月末、8月末提出行動を予定)
<参考(別紙)> 「署名用紙」
(3)2023年7月20日、大阪府知事・大阪市長・IR推進局への要請書
2023年7月20日
大阪府知事 吉村 洋文様
大阪市長 横山 秀幸様
IR推進局長 坂本 篤則様
夢洲カジノを止める大阪府民の会
平和と民主主義をともにつくる会・大阪
〒536-0008大阪市城東区関目6丁目4-2-103
担当:山川よしやす (携帯電話:090-8536-3170)
森厚子 (携帯電話:090-3275-7312)
区域整備計画の「認定」について付された7つの付帯条件を実施しないまま
夢洲IR・カジノ計画の推進、実施協定の締結を行わないことを求める要請書
《要請趣旨》
2023年4月14日、政府は「大阪・夢洲地区特定複合観光施設区域の整備に関する計画(以下、「区域整備計画」)」の「認定」を公示しました。その際、7つの条件が付されました。また特定複合観光施設区域整備計画審査委員会が明らかにした「審査結果報告書」によると、審査結果は657.9点(1000点満点)という低水準であり、「要求基準」についてどのように審査が行われ「認定」されたのか、その内容の記載は一切ないという酷いものでした。
私たち大阪府民・市民は、政府による「認定」そのものが極めて政治的・恣意的判断のもとで出されたと考えています。到底これを認めることはできません。
6月23日、「カジノ問題相談会(現「夢洲カジノを止める大阪府民の会」)」は、国土交通省観光庁に対し請願・要請行動に取り組み「認定」に関わる交渉を行いました。その際、「認定」の公示にあたって政府が付した「7つの条件」と「審査結果報告書」についても意見交換しました。これらはIR・カジノ計画について解決しなければならない諸課題を不十分ながら明らかにしており、極めて重要な内容を含んでいます。
夢洲の地盤沈下や土壌改良、地価と賃貸借契約などの問題、集客計画の推計における問題、公金投入と自治体の負担(ひいては住民負担)問題、地元住民への説明と双方向の意見交換・住民との合意形成の問題、ギャンブル依存症患者が実際には増大するという問題など、「区域整備計画」の「認定」にあたり解決しなければならない根本的な課題が指摘されています。
横山市長は「認定」時、「7つの条件」について「より良いIRにするため、頂いたご指摘は解決できるように取り組まねばならないと思っています」と記者会見で述べています。また、国土交通省観光庁は、今後、国交大臣による実施協定の認可を進めるうえで、「7つの条件」について注視していくと述べています。
大阪府・大阪市、IR推進局は、「7つの条件」をクリアしていくために具体的にどのような施策を検討しておられるのか。また実施協定締結までの行政スケジュールをどのように考えておられるのか、明らかにしていただきたいと考えております。
IR・カジノ「区域整備計画」の実施は、私たち大阪府民の生活に大きな影響を与えることになります。「メール問題」などのように事実を隠したり、情報をゆがめることなく大阪府・市民に知らせること。また、誠実に住民の意見を聞き、住民の合意がないまま計画を実施することのないよう強く求めます。
尚、下記《要請事項》と《質問項目》について文書回答を求めるとともに、2023年8月31日(月)に団体協議の場を設定していただくことを求めます。
よろしくお願いいたします。
《要請項目》
1.「区域整備計画」の「認定」について付された「7つの条件」を、具体的に実施すること。これを行わないまま「実施協定」を締結しないこと。
2.「7つの条件」と「審査結果報告書」に記された課題について、どのような改善策を検討しているのか、大阪府・市民に直ちに公表すること。また「実施協定案」の内容と締結までのスケジュールを明らかにすること。
《質問項目》
1.「区域整備計画」の「認定」に付された「7つの条件」について、今後の「実施協定」の締結に向けて大阪府・大阪市は、どのように位置付けているのか。
横山市長は、「7つの条件」について「より良いIRにするため、頂いたご指摘は解決できるように取り組まねばならない」としているが、その後、どのように具体化されているのか。
2.「7つの条件」のうち、以下について説明を求めます。大阪府・大阪市や大阪府議会・大阪市会としてどう取り組むのかを含め、ご回答いただきたい。
①条件5
「地域との十分な双方向の対話の場を設け、地域との良好な関係構築に継続的に努めること」について。
(1) いまだ、双方向の対話の場はもたれていない。どのように計画されているのか。
(2) 住民から自主的な「大阪府民公聴会・説明会」などが提案された場合、大阪府、大阪市、あるいはIR推進局として説明の場にご参加いただけるか否か。
②条件2
「効果の推計に関して、推計に用いる各種データ等の精緻化に取り組むとともに、その推計値の実現に向けた取組を着実に実施すること」「特に外国人来訪客の増加に向けたプロモーションと集客に取り組むこと」について。
(1)推計データの一部に「過大推計となるおそれ」が指摘されている。政府に提出した推計データの根拠を実際のデータと共に明らかにされたい。また精緻化にどう取り組んで実施計画を提出したのか示すこと。国内客、外国人旅行者の推計データの根拠についても説明を求める。
(2)依存症の人が増えることでしかカジノ収入は上がらない、との専門家の意見もある。依存症を起こさせないで集客できる計画と言えるものか見解を求める。
③条件4
「地盤沈下については、継続的に沈下量計測などのモニタリングを実施するとともに、想定以上の沈下が進行した場合などの対応について十分検討しておくこと。液状化対策については、今後の対策工法等の詳細及び対策範囲の確定に当たって不十分なものとならないよう検討すること。土壌汚染については、仮に今後新たな事象が判明した場合に備えて対応策を幅広に検討しておくこと」について。
(1)「想定以上の沈下が進行した場合などの対応」が指摘されているが、具体的に「想定以上」とはどの程度の沈下が想定されているのか。具体的に1年間の沈下数値に換算し、最大限度で何メートルを想定しているのか。
(2)現在計画している軟弱地盤工事計画の妥当性、工法、根拠について明らかにしていただきたい。また土壌汚染についての後発事由の予測をどのように考えているのか、明らかにされたい。
(3)審査結果報告書にある「後発事由で発生の所要費用分担」について、大阪府・大阪市とIR事業者との合意形成は、現在どのように考えられているのか明らかにされたい。
(4)災害発生時に予測される問題への対策、避難の対応について、市民の不安の声に応えられるように説明を求める。
④条件6
「十分な依存防止対策のための措置を規定する特定複合観光施設区域整備法(平成30年法律第80号)の制度趣旨を踏まえ、日本人の依存防止対策を始めとして 実効性を持って取り組むこと」「実効性のある依存防止対策を定期的に検証し、大阪府・大阪市及び設置運営事業者が連携・協力して必要な措置を適切に講ずること」について。
(1)大阪市会、大阪府議会で「大阪IR推進」決議が可決された。大阪府はこれまで「ギャンブル等依存症対策研究会」を設置してきましたが、6月には「ギャンブル等依存症対策アドバイザー」体制へと移行している。IR事業者による依存症防止対策や大阪府・大阪市とIR事業者との連携協力体制など掲げているが、実質的にカジノ依存症の拡大を前提としている。
どのように対策を具体化しようとしているのか。また大阪府下の高校への予防啓発授業実施について、誰がどのような内容で実施しようとしているのか、明らかにしていただきたい。
(2)夢洲カジノは電子ゲーム機が6400台と、海外のカジノ施設に比して台数が各段に多く、当初云われてきた「社交の場」であることとは程遠い。電子ゲーム機の方が依存の危険度が高いというのが知見であるが、この点についてどのような認識を持っておられるのか、また何がしかの対策の検討はされているのか。
3.2025年の大阪・関西万博の開幕まで2年に迫る中、海外などの国・地域が費用を負担する約50施設について大阪市への許可申請が行われていないことが明らかになった。資材高騰や建設工事に関わる人材不足などは今後も続くことが予測され、工事の遅滞を取り戻すためより一層の建設費が膨れ上がる可能性も指摘されている(当初1250億円の見込みは、現在1・5倍の1850億円)。
大阪・関西万博開催と関連し、IR・カジノ開業について以下質問する。
(1)関西万博の建設工事が遅延し、今後の建設費は当初予算見込みよりも増額され自治体の負担分は増えると考えられる。また関西万博の開催により、万博会場に隣接するIR・カジノ建設予定地の地価は現在の鑑定額より当然高騰すると予測される。その場合、IR事業者との間で結ばれる「実施協定案」の内容、土地の賃貸借契約の料金などにどのような影響があると想定しているか。
(2)関西万博の建設工事の遅滞による、いわゆる「突貫工事」は、現在進められているIR・カジノ建設予定地の工事計画にも大きく影響するものと考える。工事の進捗と今後の計画変更などあれば、具体的に明らかにしていただきたい。
(3)夢洲IR・カジノ用地に関する不動産鑑定をめぐって以下、明らかにしていただきたい。
①情報公開請求がなされた関連文書について、当初は「担当職員が削除したため不存在」とされていた。しかし最近になり、IR用地の不動産鑑定に関する198通のメールが存在していることが明らかになった。大阪市条例は、請求のあった時点で存在するものは公開文書としてその公開を義務付けている。
これらのメールは、公開請求のあった後に、「削除」されたことを確認したとされているがこれは事実か。事実であれば、なぜこのような事態となったのか。意図的な「削除」指示はなかったのか明らかにしていただきたい。
②「区域整備計画」について土地の賃貸料金(IR事業者の賃料428円/㎡・月額)について、現在、借地権設定契約差止住民訴訟で係争中である。これは審査委員会が審査する「要求基準」に関係すると考える。
この点が明らかにならない中で進められた審査は不備であると考える。また今後、賃貸借料金の見なおしは検討されているのか。見解を求める。
4.7月14日、大阪府と大阪市は、大阪夢洲IR・カジノについて、事業者との基本協定の解除期限を7月13日から、9月末日まで延長したことを発表した。また7月13日、国に対し夢洲区域整備計画の「認定」取り消しと執行停止を求める審査請求が行われた。これに関連し、以下質問する。
(1)MGMリゾーツ・インターナショナルのエド・バウアーズ氏は4月14日の区域整備計画の「認定」以降、「新たなマイルストーンに到達した」と語り「実施協定」に向けた動きが進むかのように報道されていた。しかし現在、事業者との基本協定の解除期限は、「国による整備計画の認定が遅れたことによる」との理由で延長され、具体的な建設計画や開業時期などを定める「実施協定」の締結に向けた協議が合意に至らなかったと報道されている。延期協議において、どのような課題が出されているのか具体的に明らかにしていただきたい。
(2)7月13日、夢洲IR・カジノ整備計画について、公益社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」が、計画を「認定」した国、国土交通省観光庁に対し、行政不服審査法に基づき「認定」取り消しと執行停止を求める審査請求を行った。運営に関わるMGMリゾーツ・インターナショナルの「マネーロンダリング(資金洗浄)の疑い」「オンラインカジノによる犯罪収益を取り込んでいる可能性」を指摘している。MGM日本法人はホームページで「一部団体による主張は事実無根であり、全く容認できない」と反論しているが、同社は2022年9月、違法なオンラインカジノを運営していたレオベガス社を買収している。これが事実であれば、IR整備法に抵触するものと考える。吉村大阪府知事は、「MGMはこれまで認定に関して違法となることはしていない」と述べているが、その根拠は何か答えていただきたい。また「認定」と関係なく、MGM者が買収したレオベガス社について、買収時点で2000万ドル(約28億円)の犯罪収益を得ていたとされることについてどのように考えているか。現在は、犯罪収益事業をしていないという証明はどのようになされているのか、明らかにしていただきたい。見解を求める。
以上。
2023年7月16日、「要請書」作成
(4)最近の関西万博、IR・カジノをめぐる報道2023.7.14.
●IR事業者との協定の解除期限を7月から9月末に延長 開業時期後ろ倒しか
読売テレビニュース 2023.07.14 20:14
が運営を担うことや、行政と事業者のそれぞれが持つべき責任などを確認するもので、国の認可から90日以内であれば解除できるものと定められていました。ことし4月、府市の想定よりおよそ半年遅れて国の認可が下り、基本協定の解除期限が7月13日に設定されました。この間、府市と事業者の間で、具体的な建設計画や開業時期などを定める「実施協定」の締結に向け、協議が進められてきましたが、府市は13日までに合意に至らなかったため、13日付けで解除期限を9月末日まで延長し、実施協定の早期締結を目指すと、14日、発表しました。府は、13日までに合意できなかった理由について、「国の認可の遅れにより、主に建設工事のスケジュールや開業時期の協議に時間を要している」などと説明しました。現在の協議内容では、協定解除の可能性は極めて低いということです。
大阪でのIRをめぐっては、整備計画の認可の際に国から示された「地盤沈下対策」や「地域との良好な関係構築」などの条件を満たせるよう調整を進める必要があるほか、事業者のひとつ「MGMリゾーツ・インターナショナル」のCEOはすでに、開業時期が2029年の秋から冬ごろの予定から、2030年上半期ごろにずれ込むという見通しを示しています。
●大阪IR、開業時期を再調整へ 「前向きな協議続ける」 事業者の撤退通知期限を延長
産経新聞 2023/7/14(金) 18:16配信
カジノを含む統合型リゾート施設(IR)の開業へ準備を進める大阪府と大阪市は14日、事業者側がIR事業からの撤退を通知する期限を今月13日から9月末に延長したと発表した。府市が作成した区域整備計画は4月14日に政府に認定されたが、当初見込んでいた昨年秋ごろから半年以上ずれ込み、事業の工程や開業時期の再調整を行う必要が出たためという。 事業者は米カジノ大手MGMリゾーツ・インターナショナル日本法人とオリックスを中核株主とする「大阪IR株式会社」。府市でつくるIR推進局によると同社との間では、今月13日に期限延長の覚書を締結した。開業までの手続きを決める実施協定を9月末までに締結すべく「前向きな協議を続けている」という。府市と同社は令和4年2月に基本協定書を締結。政府の認定から30日後を判断基準日とし、そこから60日以内を事業者が撤退を通知する期限としていた。府市と事業者が合意した場合は期限を延長できるとしている。
●大阪IR開発が「真の意味で」決定した模様 木曽崇国際カジノ研究所・所長
2023/7/12(水) 18:07
以下、GGR Asiaからの転載 Japan big enough for reasonable return: MGM’s Bowers
日本はリターンを得るに十分な規模がある:MGMのバウアーズ氏
https://www.ggrasia.com/japan-big-enough-for-reasonable-return-mgms-bowers/
カジノ運営会社MGMリゾーツ・インターナショナルのグローバル・デベロップメント・プレジデントであるエド・バウアーズ氏は、大阪でのカジノリゾート開発について日本政府から認定を受けた後、同社が新たなマイルストーンに到達したと語った。カジノ専門メディアのGGRが、MGM社による「MGM社が新たなマイルストーンに到達した」とする大阪IRに関するコメントを報じたニュースです。
国が大阪のIR整備区域に認定を行った今年4月に専門解説を行った通り、実は国が区域認定を行った後、約3か月間、開発を担当する民間事業者側には基本協定の解除権が認められており、その時点では大阪でIR開発が「確定した」とはまだ言えない状況でありました。(※以下解説動画へのリンク)実は今週は、その民間事業者側の保持する基本協定の解除期限が切れるまさにその週。このタイミングでのMGM社による「新たなマイルストーンに到達した」との発表は、即ち大阪IR開発に関して基本的な部分での合意が大阪府市と為され、次なる合意(実施協定)締結に向けてのより具体的な協議へと段階が進んだということを現しています。即ち、本日をもって「大阪IRの開発が『真の意味で』決定した」という表現をして差し支えないのかな、と。協定破棄期限のギリギリでの合意となりましたが、我が国でのIR開発が(ほぼ)決定したということで、業界専門家の一人として関係の方々に対して、この場を借りてお喜びを申し上げたいと思います。
記事に関する報告 木曽崇 国際カジノ研究所・所長…日本で数少ないカジノの専門研究者。ネバダ大学ラスベガス校ホテル経営学部卒(カジノ経営学専攻)。米国大手カジノ事業者グループでの内部監査職を経て、帰国。2004年、エンタテインメントビジネス総合研究所へ入社し、翌2005年には早稲田大学アミューズメント総合研究所へ一部出向。2011年に国際カジノ研究所を設立し、所長へ就任。9月26日に新刊「日本版カジノのすべて」を発売。
●大阪IRの認定取り消しを請求 運営側に「資金洗浄疑い」
共同通信 2023/7/13(木) 16:42配信
カジノを中心とする統合型リゾート施設(IR)を大阪市に整備する計画を巡り、公益社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」が13日、計画を認定した国に対し、行政不服審査法に基づき、認定の取り消しと執行停止を求めた。
IR運営に関わる予定の米カジノ大手MGMリゾーツ・インターナショナルに「マネーロンダリング(資金洗浄)の疑いがある」と主張している。MGMの日本法人はホームページで声明を発表し「一部団体による主張は事実無根であり、全く容認できない」と反論した。
●大阪IR認定で不服申し立て 事業者の収益に疑義 民間団体
時事通信 2023/7/13(木) 12:35配信
大阪府と大阪市によるカジノを含む統合型リゾート(IR)整備計画を巡り、民間団体「ギャンブル依存症問題を考える会」は13日、観光庁に対して不服を申し立てる審査請求を行った。IR事業者である米MGMリゾーツ・インターナショナルがオンラインカジノによる犯罪収益を取り込んでいる可能性があるとして、計画の認定を取り消すべきだと訴えている。考える会は同日、東京都内で記者会見し、田中紀子代表は「(依存症で)被害者も出ている。お金の流れを明らかにしてほしい」と述べた。
<関連 赤旗関西記者>
MGM者は22年9月、日本人対象に違法なオンラインカジノを運営していたレオベガス社を買収。犯罪収益を取り込んでおり、IR整備法に定める主要株主に不適格と指摘。買収時点でレオ社は2000万ドル(約28億円)超の営業利益をあげ、多くは規制の弱い日本人が対象とみられるとしています。
大阪府の吉村知事は記者団に対し、「MGMはこれまで認定に関して違法となることはしていない。国において適切に判断される」と述べました。
●和歌山IR誘致「リスク高い」 知事が慎重姿勢、前知事は推進
共同通信 2023/7/12(水) 17:14配信
和歌山県の岸本周平知事は12日、大阪市で開かれた関西プレスクラブの会合で講演し、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)の誘致について「県民が決めることだが、ビジネスとしてリスクは高い」と述べ、慎重な姿勢を示した。
IRを巡っては仁坂吉伸前知事が誘致を目指したが、昨年4月、事業内容をまとめた区域整備計画を承認する議案が県議会で否決された経緯がある。岸本氏は、中国政府による国外のカジノがある都市への渡航規制で、中国人観光客の呼び込みが難しくなったと指摘。「大阪で開業予定のIRがどれだけ集客できるか見守りたい」と語った。
●吉村知事が危機感示す 大阪・関西万博の海外パビリオンいまだ建築申請ゼロ
TVOテレビ大阪 2023/7/12(水) 20:00配信
大阪・関西万博に向け企業パビリオンなどの建設開始が報じられる中、懸念もささやかれ始めています。
【吉村知事】「このままだと非常に遅れが生じる懸念が少し前からありましたので。・国・博覧会協会、みなが連携して協力しながら、開催国に対してサポートや働き掛けをして期間内にそれぞれのパビリオンが完成するように進めていきたい」
もうひとつの魅力が世界50ヵ国が参加する国ごとのパビリオンです。大阪・関西万博ではそれぞれの国で設計した計画を夢洲を管理する大阪市に申請し、市の建築基準に従い審査を受けますが、12日までに申請した国は「ゼロ」。万博の運営主体である日本国際博覧会協会の当初の計画では、2023年春には既に工事に入っているとされる段階です。【万博協会 十倉会長】「何があっても間に合わすということです。実現できるように全力を尽くして行きたい」
●参加国パビリオン建設を代行 遅れ指摘で方針 万博協会
時事通信 2023/7/13(木) 19:10配信
2025年大阪・関西万博を運営する日本国際博覧会協会(万博協会)は13日、参加国のパビリオン整備が遅れているとの指摘を踏まえ、協会が建設を代行する用意があると明らかにした。こうした方針は既に関係国に伝達しているという。参加国が自前で建設するタイプのパビリオンは、約50カ国・地域が出展を見込む。協会は7日、出展を予定する国に対してオンライン説明会を開催。建設予算の拡充やデザイン簡素化の検討を求めた上で、建設代行の可能性に言及した。
●海外パビリオン遅れ、大手ゼネコン「いくらお金もらっても出来ない」…万博協会は道筋示せず
2023/7/14(金) 7:23配信 読売新聞オンライン
2025年大阪・関西万博に出展する海外パビリオンの建設準備が遅れている問題を受け、万博を運営する日本国際博覧会協会(万博協会)が初めて開いた13日の記者会見。石毛博行事務総長は年末までに着工すれば開幕には間に合うとの認識を示したものの、具体的な道筋は示せず、万博協会の対応の鈍さが浮き彫りになった。
「あらゆる機会を使って、準備を急ぐように口を酸っぱくして申し上げてきたが、参加国は動きづらかったのではないか」 石毛氏は、準備が遅れている理由について、ドバイ万博の影響を挙げた。
ドバイ万博は当初、2020年10月20日~21年4月10日の予定だったが、コロナ禍の影響で21年10月1日~22年3月31日に延期された。石毛氏は「万博と万博の間は通常4年半設けられているが、元々暑さ対策で半年遅れの日程で計画されていた上、1年延期されたことが響いた」と説明した。
また、ドバイ万博では、会期の終了後も使用する建物があったが、大阪・関西万博では終了後に撤去する仮設の建物を建てることになっており、「参加国の中には、準備が短い時間で済むと思っていた関係者がいたのかもしれない」とも述べた。
現在、万博協会は準備が遅れている参加国・地域に対し、デザインの簡素化や予算の増額を提案しているが、石毛氏は「そういう案を出さないといけなくなったのは残念」との認識を示した。その上で「参加国がどのようなパビリオンにするのか納得してもらいながら、線を引いて決めていく必要がある。しっかり支援していきたい」と述べた。
一方、国内の建設事業者に対しては、大阪で久しぶりに開かれる万博であることを踏まえ「チャンスと捉えて、積極的に参加してもらいたい」と呼びかけた。ただ、大手ゼネコンの幹部は「もはやいくらお金をもらっても出来ないことは出来ない」と話す。来年4月には、労働基準法の改正で建設業の時間外労働規制が強化される。石毛氏は「建設事業者の環境がもっといいものになるようにしていきたい」と述べたが、具体案は示さず、建設業界が抱える危機意識とは大きな隔たりを見せた。
●社説:大阪・関西万博 延期も視野に計画見直しを
京都新聞 2023/7/15(土) 16:01配信
2025年大阪・関西万博を巡り、会場準備の遅れなどの問題が次々と浮上している。隣の京都・滋賀を含めて国民の関心も高まっているとは言えず、半世紀前の大阪万博の熱気には遠く及ばない。同年4月の開幕まで2年を切ったが、間に合わせようと無理を強いれば、さらにひずみを広げかねない。万博で国威高揚を図る時代ではない。延期も視野に、計画を見直すべきではないか。
象徴的なのが、海外の約50カ国・地域が自前で建設するパビリオンだろう。趣向を凝らした展示の舞台として万博を彩る予定だが、現時点で大阪市への許可申請は1件もない。受注側の国内ゼネコン各社との工事契約締結が進まないのが要因という。建設業界の慢性的な人手不足に資材価格の高騰も加わり、協議が滞っている。
24年7月中に建設を終える計画だったが、準備が開幕に間に合わない可能性もある。このため万博を運営する日本国際博覧会協会は、建設工事の発注を代行する案を参加国に示した。窮余の策とはいえ、公費の負担増が懸念される。
日本関連の施設も苦境は同じである。同協会発注工事で入札不成立が相次いでいる。発注規模50億円以上とされる「日本館」は随意契約に切り替わった。事業者間の競争とならず、建設費が想定より高くなる可能性がある。会場整備費は、当初は約1250億円と見込まれたが、暑さ対策の強化などを理由に1・5倍の約1850億円に引き上げられた。さらなる増額も避けられまい。運営費に充てられる入場券の基本料金も大人7500円と決まり、当初検討されていた6千円を大きく上回った。集客の足かせとなり、収入計画に響きかねない。
建設経費は国と大阪府・市、経済界が3分の1ずつ負担し、多額の税金が投入される。2年前の東京五輪・パラリンピックでは開催経費が招致段階で示した予算の2倍以上に膨らんだ。安易に国民につけを回し、五輪の二の舞いとなってはならない。
そもそも大阪にとって万博は「負の遺産」の人工島・夢洲(ゆめしま)を活用するのが狙いだった。新型コロナウイルス禍を経験し、観光市場の変化に伴い開催意義そのものが揺らいでいる。岸田文雄政権は「国家プロジェクト」と位置付けるが、五輪や万博で経済活性化を目指すのは「昭和」の発想だろう。国民的な合意を欠いたまま無理を重ねてここまで進めたが、限界に来ている。開幕が近づくにつれて方針転換も容易ではなくなる。海外パビリオンの問題は、いま立ち止まって考え直すべき時だと示しているのではないか。
●『朝日新聞』(社説)大阪・関西万博 計画に甘さ なかったか
2023年7月4日
は、当初1250億円だったが、暑さ対策の強化などを理由に20年末に1・5倍の1850億円へ引き上げられた。もともと、個々の施設の仕様が固まらない時期に過去の事例などから見積もった金額といい、協会は入札不調を経ても総額は増やさないよう努めるとしている。建設費は国と大阪府・市、経済界が3分の1ずつ負担する仕組みで、多額の公費が投入される。安易に国民にツケを回すことは許されない。折しも運営費に充てる入場料は、開催期間中に販売する大人1人の一日券が7500円に決まり、当初想定の6千円を大きく上回った。混雑対策を強化するためなどと協会は説明するが、ここにも計画の甘さがうかがわれる。万博の誘致に成功した18年末からの懸案もある。カジノを含む統合型リゾート(IR)との関係だ。万博もIRも、大阪湾に造った人工島「夢洲(ゆめしま)」が会場だ。二つの大型事業が並行して進めば建設分野の逼迫(ひっぱく)に拍車がかからないか。工事関係の車両による渋滞が深刻にならないか。関係者の不安は根強い。1970年代に始まった夢洲の造成は、廃棄物や建設残土を埋め立てて390ヘクタールもの土地を生んだ。しかしバブル崩壊で都市開発に失敗し、大阪五輪の選手村を造る構想も五輪を誘致できずに頓挫。大阪維新の会が府と市の首長ポストを押さえた後、起死回生策として打ち出したのがIRと万博だった。IRの開業は29年までずれ込んでいるが、それでも業者は時間の余裕はないとの姿勢だ。万博の開催が迫るなか、両者の関係をどうするのか、早急に協議すべきではないか。
●【大阪IRメール不存在問題】メール保存のハードディスクは”使用許可を申請せず”…大阪港湾局「手続を失念」 市長は議会で謝罪
MBSニュース 2023年7月7日 21:00
大阪・夢洲のIR=カジノを含む統合型リゾートの用地に関する不動産鑑定をめぐって、大阪市が「存在しない」としたメールが198通も「存在した」問題。7月6日、大阪市の横山英幸市長が市議会で「不適切な事案が発生したことについてお詫び申し上げる」と謝罪しました。また、新たに、メールを保存していたのは“使用許可を得ていない”ハードディスクだったことがわかりました。市は7月14日までにメールを公開するとしています。
(大阪市 横山英幸市長) 「最終的な責任者として、本件で不適切な事案が発生したことについてお詫びを申し上げます。今回の不適切な事案は、メール資料等電子データでの公文書管理に関しての認識が甘く、また、公文書保管情報について適切に共有されていなかったことなどが発生原因となりました。改めて公文書管理、情報公開制度の適正な運用について全市的に徹底するよう周知いたしました」
●万博入場券7500円で調整 運営費膨張で高額化―大阪
2023年06月13日17時58分
2025年大阪・関西万博の入場券について、日本国際博覧会協会(万博協会)が大人の料金を7500円とする方向で調整していることが分かった。複数の関係者が13日、明らかにした。
年内の発売を予定しており、14日の万博協会理事会で提案され、国の了承を得て正式決定する。協会は当初、運営費を809億円と試算したが、物価高や急激な円安が直撃。韓国での大規模雑踏事故を受けた警備強化も課題となり、運営費の膨張が避けられない情勢となっている。
●『産経新聞』 2023年7月4日
●日本経済新聞 2023年7月5日
●『東京新聞』 2023年7月2日
●物価高騰、建設費上振れも入場料いまだ決まらず―大阪・関西万博まで2年
2023年4月13日
2025年大阪・関西万博まで13日で2年となる中、物価高騰が開催に影を落としている。会場施設の入札不成立や入場料決定時期の遅れといった形で表れているが、目玉であるパビリオンなどの質を落とすわけにはいかず、建設費や運営費が大きく上振れする懸念もくすぶっている。大阪市の人工島「夢洲」がメイン会場になる大阪・関西万博は、国内では05年に愛知県で開かれた「愛・地球博」以来20年ぶりの大型博覧会。期間は25年4月から半年間で、来場者数を2820万人と見込む。会場建設費の1850億円は、国と経済界、大阪府・市が3分の1ずつ負担するが、20年末に当初予算の1250億円から600億円上振れした経緯がある。
それでも運営主体の日本博覧会協会が発注する会場施設の工事入札は、昨年から不調続きだ。有名アーティストらが手掛けるパビリオンの中には、予定価格を引き上げて落札されたものの、ガラス屋根を撤去するなどデザインの一部変更を余儀なくされたケースも。
協会幹部は「景気回復や円安を背景に建築資材や人件費が高騰しているため」と説明する。相次ぐ入札不調に、昨年11月には関西経済連合会の松本正義会長から「(再度の建設費上振れを)容認しなければ先に進まない」との発言も飛び出した。一方、岡田直樹万博担当相は「予算の範囲内で収まるよう全力を尽くす」と慎重姿勢を崩さない。万博の運営費809億円は、主に入場料収入で賄う。協会側は、最も一般的な通常入場料(大人普通券)を1日6000円程度と想定。昨年中に国の了承を得て今夏に発売開始する方針だったがいまだに詳細が決まらず、秋以降にずれ込む見通しだ。物価高や急激な円安で「入場料の設定が難航している」(政府関係者)のが理由で、協会の石毛博行事務総長は今年3月、警備体制強化もあり、運営費がさらに上がる可能性に言及。入場料の値上がりも考えられる。
●6月24日、「夢洲カジノを止める大阪府民の会」として再スターを切る全体会議には、大阪府内28市区町から約70人画参加。各地域で、学習会、政府・大阪府市宛ての署名運動や、銀行前行動などが取り組まれています。
●街頭では、「区域整備計画」の「認定」を受けて府民の皆さんに〝7つの条件〟を知ってもらうために、『7つもダメだし そやのに認定?』『IR開業までのプロセス』の大パネルも登場。地域の会・連絡会で独自のチラシを作成し配布するなど、みんな元気に夢洲カジノSTOP!
(5)「夢洲カジノを止める大阪府民の会」の取り組み予定
●毎月1回の予定で、「夢洲カジノを止める大阪府民の会」の全体会議を開きます。ご参加ください。
▸日程(案)…8月24日、9月21日、10月19日、11月30日、12月14日
※いずれも、木曜日18:30~20:30。
※場所は、その都度決めて連絡します。ホームページ「カレンダー」に掲載予定。
●署名提出行動、8月末か9月中旬(予定)の代表派遣を行います。
▸「府民の会」の新チラシを作成中。「大阪の未来は府民が決める夢洲カジノを止める会・西淀川」のチラシなど参考にしています。完成したら、どうぞご活用ください。
●8月31日(木)IR推進局と「団体協議」の設定にむけて。
▸7月20日(木)にIR推進局に提出行動を行うことになりました。「団体協議」は、8月31日(木)を希望していますが、まだ確定していません。
●8月10日(木)、「夢洲カジノを止める大阪府内一斉行動」に取り組みましょう。
▸実施案(第1次案)…9:30~11:00カジノ融資銀行・カジノ出資企業(20社)要請行動
→12:00~13:00大阪市役所前街宣・署名行動。
▸府内各地域で街宣や署名行動など設定し、「大阪府内一斉行動」を広げてください。署名の集まりがまだ少なく、みんなで取り組みましょう。
●8月18日(金)、「夢洲カジノ視察行動」に取り組みましょう。実施案 (第1次案)
▸実施案 (第1次案)…13:00~14:00説明学習会(講師:藤永のぶよさん)港区民会館(予定)
→15:00~16:00視察行動(WTC46階)。
●8月末か9月初旬、「夢洲IR・カジノ大阪府民公聴会」を企画できないか検討を始めています。
▸国土交通省観光庁、大阪IR推進局から担当官を招くとともに、府民の会、学者(鳥畑与一さん・静岡大学教授他)、弁護士、議員なども公述人として設定し、大阪府民からの質問の場なども設けた「双方向の対話」ができる公聴会としていきます。大阪市での開催から、大阪府内各所での開催をめざしていきたいと考えています。
※各地域での「学習会」方針を発展させる取り組みとして事務局会議で論議を始めました。
●その他
▸9月21日(木)、大阪府議会開会日に「夢洲カジノ実施協定締結を許さない!大阪府庁舎前アクション(仮称)」に取り組みましょう(詳細はこれから具体化していきます)。
▸9月、「実施協定」締結が考えられる中、カジノに反対されている様々な団体・個人(継続して取り組みを進めてこられた「女性パレード」のみなさんなどとも相談し、みんなで参加も含めて)、大きなパレードができないかという意見が出ています。
今後、他の団体や運動をしている皆さんと一緒にできる取り組みを検討していきましょう。
▸9月、(第2次)政府・国土交通省観光庁・カジノ管理委員会請願要請行動に取り組みましょう。
▸9月30日(土)、『ハマのドン(松原文枝監督)』上映会(エルおおさか南ホール・3回上映。学習・トークイベント)。詳細は、これからみんなで決めていきます。
▸「カジノ住民訴訟(夢洲IR差し止め訴訟・カジノ用地契約差し止め訴訟が合併)」の傍聴行動やカンパなど取り組みましょう。次回、9月29日(金)15:00、12月5日(火)。
▸国土交通省への区域整備計画審査における「要求基準」審査についての行政文書開示請求の取り組みときょうりょくしていきましょう。高校におけるギャンブル依存症啓発授業反対の取り組みを進めていきましょう。
▸カジノに反対する9団体懇談会によるIR推進局申し入れが行われました。協力して運動を進めていきましょう。7月22日(日)カジノ住民投票直接請求署名メモリアル「7.21」語らいのオープンカフェ、7月30日(日)ZENKO第3分科会「夢洲カジノは作れない!維新政治による生活破壊を止めよう!」などの取り組みが呼び掛けられています。
(6)「夢洲カジノを止める大阪府民の会」会則
★学習会などでご活用いただければ幸いです。
★できれば『報告集』のカンパのご協力をお願いします。「夢洲カジノを止める大阪府民の会」の活動に使わせていただきます。
2023年7月20日(木)