10/1 大阪市がIR用地を事業者に引き渡し

IR用地の土地引き渡しに係る問題点を考察ー「IR土地改良事業差し止め訴訟との関連」ー

<経緯>

2024年10月1日、「2030年開業予定のIR用地、きょう大阪市が事業者に引き渡し…賃料月額2億円 」の報道(2024/10/01 読売新聞)があった。

https://www.yomiuri.co.jp/local/kansai/news/20240930-OYO1T50045/
「大阪市の人工島・ 夢洲 ゆめしま で計画されているカジノを含む統合型リゾート(IR)を巡り、大阪市が10月1日、IR事業者に用地を引き渡すことが、関係者への取材でわかった。同月から月額約2億円の賃料が市に支払われる。 市は昨年9月、夢洲北側の市有地約49万平方メートルを35年間貸し出す定期借地契約を、事業者の「大阪IR株式会社」と締結。同社は今年9月、違約金なしで撤退できる「 解除権」を放棄していた。用地の引き渡しの数日後、仮囲いなどを設置する準備工事を始め、2030年秋頃の開業を目指す。」

当会メンバーが大阪IR推進局に電話で問い合わせを行った。

Q.IR推進局のホームページで「IR用地49haのうち46haを引き渡した」と説明しているが、どの土地が液状化工事中であり、賃料が発生していない部分であるかなど、全てを情報公開すべきではないか。(土地改良工事の)住民監査結果の中で「不正の温床になるから住民にしっかり説明しなければと指摘されている。

大阪府の該当ページ ※日付が過去から示されているので「R6 10月1日」の記事を参照ください。(情報は下図のみ) 

大阪・夢洲地区特定複合観光施設区域整備の進捗

A.(IR推進局の答え)これ以上の具体的な説明をどうするかは検討中である。監査の指摘も知っているので、ホームページでお知らせして、説明の仕方は検討中である。・・・・「検討中」を繰り返し、不誠実な対応だった。

IR用地の土地引き渡しに係る問題点を「IR土地改良事業差し止め訴訟との関連」で当会の訴訟担当である井上眞理子さんがコメント

「土地引き渡しと液状化対策工事について

① 土地引き渡しについては、定期借地権設定契約(賃貸借契約)の第5条に「甲(大阪市)は、事業前提充足日の3営業日後の日又は大阪市及び乙(IR事業者)で別途合意した日をもって・・・現状有姿にて乙に引き渡す」とあります。

② 「現状有姿」とは、「現在あるがままの状態」という意味で、不動産取引等の際、中古物件を修理せず「現状有姿」で引き渡す、というような使い方をします。しかし大阪市は現状有姿どころか、使用貸借契約を締結し、液状化対策工事を自らが行うと批判されるのでIR事業者に行なわせ、自らは費用を負担することにしています。「現状有姿で」という自ら結んだ契約に自ら違反しています。

③ 我々の監査請求に対する監査委員会の報告『住民監査請求について(通知)』の25ページの図では、土地が引き渡され賃貸契約が発効した後も、液状化対策等土地課題対策工事中は無償となっていますが、これは工区ごとに引き渡された場合で今回は一括引渡しなので、無償部分と有償部分との線引きは困難です。しかも賃料の額は全体に対するもので、無償部分が差し引かれていません。

『住民監査請求について(通知)』の25ページの図(下の大阪IR推進局の発表の図と比べてください)

④ そもそもなぜ無償か?という問いへの答えとして液状化対策工事が行われていると上物(IR施設)の建設が困難なので、IR株式会社が賃貸した土地から利益を得られないからということでした、それではなぜ今一括引渡しを行い、賃料を発生させたのでしょうか?やはり我々の提訴が影響していると思います。

⑤ 大阪府・市はいろいろと詭弁を弄し、様々な契約や協定を結び、事態を把握されないように複雑化していますが、結局のところ、従来は、土地所有者責任を負わなかったのに、IR事業者から恫喝されて土地所有者責任を負わざるを得ず、それを隠すための手段であると思います。

⑥ 地方自治体が外国の民間会社に支配され、府・市民の税金を湯水のように濫費しているこの事態は、本当に危機的なものであると考えます。 (井上眞理子)

考察「IR事業者の解除権失効と大阪市の土地引き渡しについて」 井上眞理子さん

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