<報告>夢洲キケン!あかんやろカジノ 吹田の集い 10/5

レポートをご覧ください。全文を掲載しています。

2025年10月5日夢洲キケン!あかんやろカジノ 吹田の集い(於:千里山コミセン)

(1) 大阪府議 石川たえさんからのアピール
▸全議員79人のうち維新が51人を占める府議会で、共産党府議はわたし1人だけ。でも、協力できる他会派議員と共に、万博の負の遺産をそのままで終わらせてはいけないと、万博パビリオン建設に関わった業者への工事費未払い問題についても追及しています。しかし、先日、所属する委員会でこの問題を追及すると、答弁者は中小企業の所管ではないので分からないと答え、事前に担当部署に聞いていないことも判明しました。
▸大屋根リングを200㍍残すという話が出ています。そうなると今後10年間、毎年1億5千万円の維持管理費用(税金)が生じます。また、JR西日本と南海電鉄の社長が新たな夢洲鉄道敷設の意向を表明しましたが、両社長とも「親方日の丸」でないとできないと言っています。カジノ集客を狙う大型公共施設とそこへのアクセスでさらに税金が投入される可能性があります。
▸9月に来日したイギリスのギャンブル依存症の専門家の話によれば、カジノ業者はカジノ利用者のありとあらゆるデータを集めてリピーターにする仕組みを持っているとのこと。大阪府はカジノ業者にも依存症対策してもらうなどと言っていますが、業者にできるはずがありません。吉村知事は、大阪は依存症対策のトップランナーになると言いますが、カジノをストップさせることこそ最善の依存症対策です。

(2) 新川眞一さん(司法書士 大阪府ギャンブル等依存症対策推進会議委員・大阪いち
ょうの会事務局次長)の講演「あなたも狙われている!オンラインギャンブル 被害の拡大と深刻な実態」
▶NHKスペシャル「オンラインカジノ“人間操作”の正体」(今年4月20日放送)が明らかにしたのは、カジノ業者が「ボーナス」(カジノ業者がサービスで提供する「現金」のようなもの)を使って負けた利用者をリピーターにし、利用者のすべての個人情報を獲得し、コンピューター上のアルゴリズムに基づいて利用者の「仮想人格」を作り、未来行動を予測し、オンラインカジノの奴隷にしている実態。
▶<オンラインギャンブルの恐ろしさ>とは、①パソコンやスマホからインターネットを経由してギャンブルサイトにアクセスできる→いつでも、どこでも、好きな時に、好きなやり方で賭けられること ②すべての賭けが電子データとして記録・蓄積され、ギャンブル事業者がこれらのデータをリアルタイムで把握管理できること。例えば、水原一平氏のオンラインスポーツ賭博では、ギャンブル業者は、水原氏の賭け金が10ドルから16万ドルまでだったことも賭け回数が19000回で1日平均25回賭け続けていたこともすべて把握していた。胴元の監視下で丸裸の状態になりながら水原氏はのべ3億2520万ドルの勝負を繰り返し、4068万ドルの負けを被り、結果、大谷選手の銀行口座から1600万ドルを盗むに至った。
▶オンラインギャンブルの特異性・危険性として挙げられるのは、上記①②の他に、③さまざまなギャンブル商品が提供されており、短時間で賭けができる ④スマホゲームとの境界があいまい ⑤クレジットカードやデジタル通貨の使用で現金感覚がなくなり、借金へのハードルが低くなる ⑥SNS上に様々なイベントや有名人の情報発信を絡めた巧みな宣伝がある ⑦複数のギャンブルへのアクセスが簡単にできるため自己排除申告が無意味化していること。
▶日本では刑法処罰の埒外の公営ギャンブルがすでにスマホの中にある!
・公営ギャンブル(競馬、ボートレース、競輪・オート)の売上は2018年から上昇し、特にコロナ禍を契機に収益がアップした。しかし、来場または場外投票権売り場での売上は下落している。⇒集客と売上が今やオンラインに収斂されている。
・銀行と公営ギャンブルがつながっている。楽天銀行や住信SBIネット銀行などのHPには公営ギャンブルにつながる画面があり、1つの画面で投票も借り入れもでき、「ポイント」付与等のカジノのコンプサービス(リピーター確保のためにカジノ側が一定以上の賭け金を使った利用者などに特典を無料で提供するサービス)まで紹介されている。さらに銀行のHPには、金が底をついた場合でもキャッシュレス、サラ金、クレジット決済、メルペイなどでの後払いができることも紹介されている。梅田の繁華街には堂々と、オッズパーク(ソフトバンクグループの子会社、公営ギャンブル総合サービスサイト)の広告がかかっている。⇒利用者がスマホで簡単に公営ギャンブルにアクセスできる。
・新川さんが紹介した、オンラインの公営ギャンブルで急激に借金が嵩み多重債務破産に陥った青年の事例では、債権者はアコム、SMBCモビット、りそな銀行、三菱UFJ銀行、じぶん銀行など。弁護士に借金整理を委任し、退職金を返済などに充てた後もギャンブルを止められなかった青年は、ヤミ金から借り入れをしてギャンブルを続けた。最後に行きついたのが依存症の会だった。
▶オンラインギャンブルは、収益の過半を依存症者に依存している。オンラインギャンブルの収益拡大のためには依存症者を増やす必要があり、その標的は依存症に脆弱な若者や依存状態で苦しんでいるギャンブラー。
▶日本ではすでにオンラインカジノ依存症になるシステムが出来上がっており、タレントや野球選手が書類送検されるなど社会問題化している。これを受けて、サイトの開設などを禁止した改正ギャンブル等依存症対策基本法が9月25日に施行された。しかし一方で、橋下徹氏の「(オンラインカジノは)単純禁止ではなく管理型にせざるを得ないだろう」との発言に堀江貴文氏も同調するなど、オンラインカジノの合法化を求める声もある。合法化を求める人たちの主張は、依存症は自己管理ができない人が陥るもので、依存症に陥る比率は1~2パーセントにすぎず、大半の顧客は健全な娯楽としてギャンブルを楽しんでいるというもの。
▶オンラインギャンブルが社会問題化しているイギリスとオーストラリアでは、実態調査に基づいた抜本的な規制強化(賭け金や賭け時間の事前設定の導入、賭け額の上限設定と負け額の制限、クレジットカードの使用禁止や借金による賭けの継続の制限など)に取り組み始めている。日本では警察庁などがマネーロンダリング防止の観点から国内のオンラインカジノサイトの摘発は行っているが、消費者保護の観点からの体系的、実効的措置を採れる権限を持つ監督規制機関は存在しない。そのため、日本市場が海外のオンラインギャンブル事業者の草刈り場になっている。
▶夢洲IRカジノを止める方法は、①選挙で勝つ ②運動で止める ③裁判で勝つ ④事業者に断念させる の4つ。この4つの相乗効果を高めていくことが必要。②については、オンラインカジノの徹底した規制を求める運動を拡げなければならない。現在、日本ではギャンブル依存症の事後救済のみで、被害をどう未然に防ぐかの論議も取り組みもない。また、ギャンブルをした側だけを取り締まり、開帳した側には罰を与えていない。これを変えていく必要がある。④については、日本経済が悪化の一途をたどる中で日本人から巻き上げる利益が少なくなってきており、ギャンブル事業者も夢洲IRでオンラインカジノの併用ができなければ完全に赤字になると見ているだろう。訪日中国人から巻き上げるとしても、中国政府は刑法属人主義を採っているので外国で賭博をした自国民を逮捕する。ギャンブル事業者はそのリスクも考えているはず。
▶スマホで闇バイトや詐欺などの犯罪にアクセスができ、それがカンボジア、ラオス、ミャンマー、フィリピンなどの海外の犯罪拠点ともつながっている。愛知県豊明市議会では「スマホ1日2時間条例」が可決されたが、スマホを使ったトラブルから身を守る方法について国民的議論が必要で、学校教育の場でスマホ被害を学ぶ必要もある。

(3) 山川義保さん(夢洲カジノを止める大阪府民の会事務局長)の報告
「万博は成功したのか? こうして止めようカジノ!」
《万博は本当に黒字なのか?》
来場者数が黒字化ライン2200万人を超えたと言われているが、それは「★運営費」だけの話。しかも、以下▽で示す多くの問題あり。
項目 金額(予算)
建設費 2350億円
日本館関連費  360億円
途上国支援費  240億円
警備費  255億円
機運醸成費   69億円
誘致関係費   27億円
会場アクセス向上関係費 7580億円
会場周辺整備費  810億円
★運営費 1160億円
▽「建設費」はすでに当初予算の約2倍になっている。しかし、物価高騰が続く中さらに増額される可能性あり▽「ブルーインパルス」は府が警備費として1億円を支出▽機運醸成費は「毎日花火大会」の費用などが加わるとさらに膨らむ可能性あり▽「万博への児童生徒夏休み特別招待事業」に大阪府は1万人を募集するとして1億5千万円の予算を計上した。しかし参加したのは398人だけだった。その結果、児童1人当たり13万円の事業委託費が委託業者に支払われることになった。これは決算期の大阪府議会で追及すべき問題。

《夢洲開発と住民の税負担》
▶大阪府・大阪市は2025年度当初予算案で、①万博に対する「直接経費」と②「インフラ整備費」を以下のように要約していた。
① 万博直接経費 総額 3862億円
費用負担内訳 大阪府・市  1348億円(府:595億円、市:753億円)
       国      1731億円
       経済界     783億円

② 夢洲内のインフラ整備費(地下鉄延伸費用含む) 総額 1148億円
費用負担内訳 大阪市     860億円
       国        84億円
       大阪府       1億円
       IR事業者    202億5千万円(地下鉄延伸の負担)
しかし、夢洲開発に関しては①②以外に、③夢洲を結ぶインフラ整備費(淀川左岸線2期、関空整備、鉄道整備など)7720億円、④夢洲の土壌改良費1835億円(内訳:IR用地 788億円、万博跡地790億円、IR拡張地257億円)も計上されている。
 上記①②だけでも住民1人あたりの税負担額は以下の通り。

全国住民1人あたり(国費)       1460円
    大阪府民1人あたり(国費+府費)    8202円
  大阪市民1人あたり(国費+府費+市費) 68316円
実際は、④1835億円と③の淀川左岸線工事費の45%(約1340億円)なども大阪市から払うので、大阪市民にはさらに大きな税負担がのしかかる。
▶大阪府と大阪市が試算し発表した「今後の財政見通し」
 大阪府 2025年~2037年 毎年赤字 赤字額は13年間で総額5830億円
     (現在の財政調整基金の残高1746億円が4年間の赤字補填で消える)
 大阪市 2025年~2034年 毎年赤字 赤字額は10年間で総額1998億円
     (現在の財政調整基金2734億円で穴埋めする計画)

♦万博とカジノのための巨額投資がすでに自治体の財政破綻をもたらしつつある。そのツケは住民の社会保障、教育、生活インフラ整備予算の削減につながる。
▶大阪市の国保料と介護保険料はすでに全国一の高さであり、大阪府の人口10万人あたりの公的医療施設は全国平均を下回り、府立高校は次々廃校にされている。この現状を見て、さらに夢洲の2期~3期開発を進めることは許されるのか。

▶「成長を止めるな」という“成長戦略”は15年が経ったが、大阪経済は低迷したまま。大阪経済の低迷は統計にも表れている。
① 都道府県総生産(2011年度を100とした時の2022年度の値)
全国107.3  東京都112.2  愛知県109.6   大阪府105
② 1人あたりの県民雇用者報酬(2011年度を100とした時の2021年度の値)
全国106.2  東京都106.6  愛知県109.7   大阪府106.2
③ 完全失業率(2024年)
全国2.5%  沖縄県・宮城県3.2%       大阪府・青森県3.1%
(山中徹奈良女子大名誉教授提供の資料による)

《無責任な維新府市政》
▶有毒な焼却灰や浚渫土砂などが大量に埋設された軟弱地盤の夢洲。現在もメタンガスなど
有毒ガスが発生している夢洲。その危険な夢洲に大規模集客施設を建設し、住民合意もな
いまま2030年のカジノ開業を強行しようとしている。
▶万博開幕後の4月3日には万博協会HPから一酸化炭素情報が消え、6月にはメタンガス
以外の情報がすべて消えた。吉村知事は万博協会副会長。

▶大阪市消防局への出動要請はすべて万博協会任せで、府・市は、環境局、港湾局も含めて消防局への出動要請の実態を全く把握していなかった。
▶こうした中、安全性を保障しないまま、府は子どもたちへの万博遠足招待事業を実施した。
▶7月30日午前9時40分に大阪府に津波注意報が出たが、万博の場内放送は津波到達予
想時刻の正午を過ぎた午後0時7分だった。
などなど

<維新府市政の無責任は、とりわけ「万博工事費用未払い被害者」への対応に現れている>
▶海外パビリオンの建設工事は、受注する業者が不足していたため、工事の開始が遅れていた。そこで、府・市は昨年8月、多くのルートを通じて建設業界に対する協力要請を繰り返し行った。同時に、海外の施工業者が迅速に建設業許可を取得できるよう行政手続きを短縮した。これにより建設業許可を持たない多くの問題企業が元請けなどに紛れ込んだ。元請け業者の選定には国も万博協会も関わっているので責任がある。
▶国家事業なので支払いの問題はないと信頼してパビリオン建設工事を引き受けた下請け業者は、開幕に間に合わせようと泊まり込みで工事をするなど、労働基準法違反の過酷な長時間労働に従事した。ところが海外の施工業者から代金が支払われない、あるいは建設業許可を持たない業者に工事代金を中抜きされたり持ち逃げされたりする被害に遭った。

▶被害に遭った業者は倒産の危機に直面し、従業員や下位下請け者も生存の危機に直面した。そこで、府に対して中小建設業者の経営を守るために早急な実態調査を行うことと被害を受けた業者に今年6月末までに緊急立替払いを行うことを求めた。しかし、吉村知事は、「民民の問題」に税金は使えない、立替払いや緊急融資はできないと返答し、現在に至るも実効ある支援策を示していない。

<万博とカジノ誘致をめぐる不自然に安い地価評価や極端に安い土地賃貸借契約の問題>も現在、複数の裁判によって問題の闇が暴かれつつある。

吉村知事は、万博に係る諸費用のうち「運営費」だけを取り上げて黒字化ラインを超過したので万博は成功したと言っているが、万博・カジノ建設がはらむ数多くの問題は未解決のままであり、評価と検証はこれからにかかっている。

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